BMW 3.0CSLのモデル概要


BMW 3.0CSLは、「E9」型と呼ばれる2ドアクーペシリーズ(1968年-1978年)にラインナップされた軽量版スペシャルモデルです。このBMW 3.0CSLは、国際レースの参加規定(連続する24週間の間に400台以上を販売)をクリアする目的で市販されますが、発売されると人気となり、累計1000台以上が販売されました。また、実際のレースシーンでも大活躍し、BMW社のブランディングに大きく貢献しています。

BMW 3.0CSLのベースとなったE9型シリーズ

BMW 3.0CSLのベースとなった「E9」型シリーズ(1968年-1978年)は、BMW 2800CSから始まる大型2ドアクーペモデルの総称です。「E9」という呼び名は、BMW社内で使われていたコードネームで、この「E9」型シリーズは、世界一美しいクーペと呼ばれるBMW 6シリーズ(E24)の前身としても知られています。

E9型シリーズの開発とBMW 3.0CSLの誕生

「E9」型シリーズは、BMW 1500をデザインしたベルトーネのチーフデザイナー「マルチェロ・ガンディーニ」によってデザインされました。すでに販売されていた大型セダンBMW 2000CSをベースに、新開発のM30型直列6気筒エンジン(ストレートシックス)が搭載され、1968年に「E9」型シリーズの初代モデルとなる「BMW 2800CS」が誕生します。1971年になると排気量がアップし、ドラムブレーキから四輪ディスクブレーキに変更になった「BMW 3.0CS」にモデルチェンジします。このタイミングで、BMW社は、BMW 3.0CSを軽量化したモデルで国際レース参加資格を取得する事を考えます。そして翌年1972年には、早速、レーシングホモロゲーションの軽量化モデルとして「BMW 3.0 CSL」が発売されました。

軽量化によるBMW 3.0CSLの開発

BMW 3.0CSLを開発するにあたり、まずベースの市販モデルであるBMW 3.0CSから外装部品が外されました。そして、さらなる軽量化の為、ボディ素材を薄い鋼板に変更し、ドア・ボンネット・トランクリッドにはアルミ合金が用いられます。また、サイドウィンドには、パースペックスが採用され、加えて遮音材も除く事で徹底的な軽量化がされました。それにより、総重量1400kgだったBMW 3.0CSの車体から約200kgの軽量化に成功しました。

頻繁なマイナーチェンジと各年式の違い

BMW 3.0CSLは発売後、毎年のようにマイナーチェンジが施されました。販売開始の1971年モデルが1stバージョン、翌年1972年モデルが2ndバージョン、1973年以降モデルが3rdバージョンと呼ばれています。

1stバージョン(1971年式)


1971年の1stバージョンは、BMW 3.0CSを軽量化したのみで、エンジンをはじめ、基本的なメカニズムはBMW 3.0CSと同様です。

2ndバージョン(1972年式)


1972年の2ndバージョンになると、エンジンがチューニングされ、排気量が2985ccから3003ccに拡大されます。さらに、キャブレターがボッシュ製Dインジェクションに変更され、最高出力は200ps、最大トルクは27.7kg-mにパワーアップしました。また、2ndバージョンの大きな特徴は外観で、レーシングカーを製作するモートルシュポルトGmbhの協力により、空洞実験の上で開発されたダイナミックなエアロパーツ(フロント・リアの大型スポイラー、オーバーフェンダーなど)が装着されました。その結果、空力性能が向上し、最高速度は220km/hまで向上しました。このエアロパーツが装着された2ndバージョンは、通称「バットモービル」と呼ばれています。

3rdバージョン(1973年式以降)


3rdバージョンになると、エンジン排気量はさらにアップし、排気量3,153ccまで拡大します。その結果、最高出力は206psとなり、最大トルクは29.2kg-mになりました。最高速度は、2ndバージョンと同じですが、0-100km/hでの加速性能は向上しています。外装面では2ndバージョンに装着されていたエアロパーツが廃止され、FRP製のフロントバンパーやトランクの上にリアスポイラーのみを残し、落ち着いたスタイリングに変更されました。

レースでの活躍

BMW 3.0CSLは、レース戦歴も、とても華やかなです。登場後、早速1972年に開催のスパ・フランコルシャン24時間耐久レースで、優勝を飾っています。そして、1973年のヨーロッパツーリングカー選手権では、トイネ・ヘイゼマンが年間タイトルをBMW 3.0CSLバットモービルで獲得します。また、同年のル・マン24時間耐久レースでもディーター・クエスターとのコンビでクラス優勝しました。1974年には優勝を逃しましたが、翌年1975年からは再びBMW 3.0CSLバットモービルがチャンピオンとなり、その後5年連続という偉業を成し遂げています。

BMW 3.0CSLの諸元表・スペック

販売期間1971-1975年
生産台数1,039台
ボディスタイル2ドアクーペ
サイズ(全長×全幅×全高)4,630mm×1,730mm×1,370mm
車両重量1,200kg
エンジンタイプ1971年式:水冷直列6気筒SOHC 2985cc 、1972年式:水冷直列6気筒SOHC 3003cc、1973年式以降:水冷直列6気筒SOHC 3153cc
最高出力1971年式:180hp、1972年式:200hp、1973年式以降:206hp
最大トルク1971年式:26.0kg-m/4300r.p.m、1972年式:27.7kg-m/4300r.p.m、1973年式以降:29.2kg-m/4300r.p.m
ミッション4速MT
駆動形式FR
サスペンション
最高速度1971年式:215km/h、1972年:220km/h



BMW 3.0CSLの最新価格相場

BMW 3.0CSLの現在価格

【BMW 3.0CSL】コンディション別の取引価格(2022年11月時点)

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BMW 3.0CSLの価格推移(CLASSIC.COM)

【BMW 3.0CSL】過去5年間の販売価格の推移


CLASSIC.COMのデータを引用しています。
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バイヤーズガイド

BMW 3.0CSLの購入の際に気を付けるポイント

BMW 3.0CSLは、BMW 3.0CSが2万台近く生産されたのに対し、わずか1039台しか生産されませんでした。さらに、その内の500台は、パワーウィンドや遮音材といった快適装備が付いていたイギリス向けの右ハンドル仕様です。その為、軽量化モデルとしての本質的なBMW 3.0CSLを味わいたい方は、左ハンドルを探す必要があります。

また、どれだけオリジナル性を保っているかも大きなポイントとなります。BMW 3.0CSLは、ベース車両(BMW 3.0CS)を改良して作られたモデルの為、ベース車両からのパーツの流用がされやすくなっています。その為、エンジン、トランスミッション、ボディに至るまでナンバーマッチングしているかは必ずチェックしてください。また、BMW 3.0CSLにしか装着されていないパーツについては、正しいBMWの刻印が入った純正部品が使われているかも評価のポイントになります。一方、レース参戦記録などのヒストリーについては、有名なレースであれば評価ポイントとなりますが、マイナーなレースの場合は、車のコンディションに悪影響も与えるマイナスポイントになる場合もありますので注意が必要です。

BMW 3.0CSLの価格相場の特徴

BMWという人気ブランドのレーシングホモロゲーション(レース規定を満たす目的で販売された限定特別モデル)という事で、昔から比較的高価格で取引がされてきました。ただ、クラシックカーとしては、まだ年式が若く、一種のバブル相場と化していた1960年代までのクラシックカーとは状況が異なります。近年のクラシックカー取引市場では、まず1960年代のクラシックカーの価格が急騰し、バブル状態を形成しました。しかし、最近では1970年代のモデルに注目が移り、BMW3.0CSLのようなモデルの価格も大きく上昇傾向になっています。その為、将来的にも相場は下がることなく上がっていくでしょう。

購入車両の探し方

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