Porsche 959｜ポルシェ 959

ポルシェ 959のモデル概要

ポルシェ911のリアエンジン・リアドライブ形式（RR駆動形式）で有名なポルシェですが、実は1970年代後半からひそかに4WDシステムの開発を進めていました。そして、満を持して1986年にポルシェ社初の4WDシステムを搭載したモデルとして登場したのがポルシェ959です。また、このポルシェ959は、グループBホモロゲーション取得という使命も持っており、限定200台生産として販売されました。

ポルシェ959の開発とメカニズム

ポルシェ959のエンジン

このポルシェ959のエンジンは、グループCカーであるポルシェ962Cのエンジンをベースに開発されました。水平対向6気筒の排気量2,848cのエンジンにKKK製ターボチャージャーを2基組み合わせ、最高出力450PSのパワーを発揮します。そこに6速トランスミッションと、ポルシェ944から流用したドライブシャフトから成る4WDシステムを採用しました。

ポルシェ959の画期的な足回り

この可変トルクスプリット式と呼ばれる4WDシステムは画期的で、加減速・コーナリングなどでコンピュータ制御により車体状況を察知し、前後の駆動力配分を自動制御します。さらにステアリングコラムに設けられたレバースイッチにより、天候状態や路面状況により最適なモードを選択することができました。足回りは乗り心地優先モードと走行性能優先モードから選択できるサスペンションシステムで、車高も3段階に調整できます。タイヤはフロント235/40VR17、リア255/40VR17が採用されています。

ポルシェ959のエクステリア

ポルシェ959は、同時期に販売されていたポルシェ911に似ていますが、ボディパネルに共有部品はありません。基本的にボディは、ケブラーやガラス繊維により強化されたエポキシ樹脂を採用し、それをオートクレーブ加工したハイブリッド構造となっています。また、フロントフードとドアパネルには熱硬化性アルミニウム合金が使用され、バンパーには復元性に優れたガラス繊維強化ポリウレタンを使用されるなど、パーツ毎に最適な材質を使い分けられて、ポルシェ911とは全くの別物になっていました。

ラリーシーンでの活躍

ポルシェ959はレースシーンでも大活躍し、1986年のパリダカールラリーでは1、2位フィニッシュを決め、同年のルマン24時間レースではクラス優勝をしています。

ポルシェ 959の諸元表・スペック

価格相場

ポルシェ 959

ポルシェ959は、市販車で初めて時速300km/hを達成したモデルとして自動車史に残る名車です。「世界最速」の座はライバルである翌年すぐにフェラーリ「F40」に奪われましたが、市販車時速300km/h時代の扉を開いたのは、紛れもなくこの「959」でした。また、ポルシェ初の4WDモデルとして、現在でも確固たる地位を保っています。その為、ポルシェ愛好家を中心にコレクタブルカーとして現在も非常に高値で取り引きされています。2015年頃のクラシックカーバブルの際に一度価格のピークを付けましたが、現在は再び大きく価格が上昇し、非常に高値となっています。

ポルシェ 959の現在価格

【ポルシェ 959】コンディション別の相場価格（2023年6月時点）

クラシックカー投資研究所では、Hagertyの最新相場情報を円換算して価格提示しています。
Hagertyの相場情報についてはこちら＞＞＞Hagerty valuation（英語）

ポルシェ 959の価格推移（CLASSIC.COM）

【ポルシェ 959】過去5年間の販売価格の推移

CLASSIC.COMのデータを引用しています。
さらに詳細に調べたい方はこちら>＞>CLASSIC.COM（英語）

バイヤーズガイド

ポルシェ959の購入の際に気を付けるポイント

ポルシェ959はグループBホモロゲーション取得を目的として販売された為、当初販売台数は200台を予定していましたが、大きく上回る受注を受け、最終的に283台が生産されています。その中には、ストリートモデルであるKomfort 254台と純粋なスポーツモデルであるSports 29台が混ざっています。ちなみにKomfortは、エアコン、パワーウィンドウ、高さ調節可能なサスペンションが標準装備となっており、街中でも快適なドライブが可能なモデルです。一方、Sportsには、それらアイテムはいっさい装備されておらず、その代わり車重が110ポンド軽い仕様になっています。Sportsは生産台数も非常に少ない為、Komfortよりも高く取引がされています。その為、しっかりと購入する個体がどのモデルなのかを見極め、適正価格で購入する事をおすすめします。

購入車両の探し方

販売されている個体は非常に少ないのですが、まずは大手販売サイトや個人売買の仲介サイトで現在販売中の車両をチェックします。

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