アルファロメオ ジュリエッタSZのモデル概要

1956年のミッレミリアでの事故がきっかけにアルファロメオ ジュリエッタSZは誕生します。
アルファロメオは、なんとしてもこの名誉あるミッレミリアで勝利しようと、5台のアルファロメオ ジュリエッタ スプリント・ヴェローチェを参戦させました。そのうちの1台は、ドーレとカルロのレート・ディ・プリオーロ兄弟がドライブしていましたが、不運なことにこの兄弟は小さな橋の架かったコーナーに猛スピードで突っ込んでしまいます。その際、車はコントロールを失い、欄干に激突しオンブローネ川に落下してしまいました。幸いカルロはかすり傷で済みましたが、ドーレの方は重傷を負いました。その後ケガから復帰した兄弟は、川岸から引き上げられた半壊のアルファロメオ ジュリエッタ スプリント・ヴェローチェをミラノに運び、アルファロメオ社に修理を依頼します。しかし、アルファロメオ社からは「この状態ではどうすることも出来ない。廃車にするしかない」と断られてしまいます。だが諦めきれない兄弟は、エリオ・ザガートにこの壊れた車を持っていき、修理を依頼しました。ザガートは細部をチェックしたのち、「何とかしよう。だが、ボディは取り替えないと」と言い、修理を引き受けます。
4か月後ザガートは、テストを重ねて仕上げたチューブラーフレームを使い、そこに新しいアルミパネルを固定して、見事に車を生き返らせます。こうして生まれた兄弟の新たなマシンはアルファロメオ ジュリエッタSVZと呼ばれ、ジュリエッタ スプリント・ヴェローチェより135kgも軽かった為、その後レースで華々しい活躍をしました。
そして今度は、このドーレ・カルロ兄弟のアルファロメオ ジュリエッタSVZに敗北したドライバーたちからザガートにジュリエッタ スプリント・ヴェローチェのボディを改良する注文が次々と舞い込んできました。そして、ついにはアルファロメオ社自体がザガートにアルミボディをカタログモデルとして発注するに至りました。こうして生まれたのが、今回ご紹介するアルファロメオ ジュリエッタSZ(スプリント・ザガート)です。
レースを念頭に置いて開発されたアルファロメオ ジュリエッタSZは、アルミ製ボディによって大いに軽量化され、車重は785kgに収まりました。一方、デザインは見た目に美しかったのですが、空力学的には改善点が多く、空気抵抗の影響を受けやすい形でした。その為、初期型であるSZ-1の生産が終わった後、ザガートはフロントとテールエンドを延長して空力の改善を図ります。これが後期型となるSZ-2となりました。
後期モデルであるアルファロメオ ジュリエッタSZ-2は、リアのオーバーハングが延長され、上にすっぽりと切り落とされたような『コーダ・トロンカ』と呼ばれるテール形状が特徴的です。一方アルファロメオ ジュリエッタSZ-2になってもエンジン性能に変化はありませんでした。しかし、空力性能が向上したボディと、15kg軽量化されて車重が770kgになったことで最高速度は220km/hまで到達可能となりました。

ちなみにこの時期、アルファロメオ社はザガートにアルファロメオ ジュリエッタSZの製作を依頼すると同時に、同じアルファロメオ ジュリエッタスパイダー用ショートホイールベースのフロアパンと100HPにチューンナップされた1.3リッターエンジンをベルトーネにも提供し、特別モデルの製作を依頼しています。依頼されたベルトーネは流麗なスタイルを持つボディを架装し、ラグジュアリーなイメージの強いアルファロメオ ジュリエッタSS(スプリントスペチアーレ)を製作しました。同じ車台とエンジンをベースにレースシーンをバックグラウンドに誕生したアルファロメオ ジュリエッタSZ(スプリントザガート)とラグジュアリークーペとしてのイメージが強いアルファロメオジュリエッタSS(スプリントスペチアーレ)という対照的な2台の名車の誕生秘話でした。

①アルファロメオ SZ-1の価格相場

生産台数が極めて少なく、レースシーンで活躍した人気のザガートモデルという事で、当然価格相場は高止まりしています。現在の価格相場は$306,000-565,000となっており、直近数年での価格変動はほとんどありません。

《HAGERTY情報》 2020年5月時点

コンディション1(Concours) $565,000
コンディション2(Exellent) $433,000
コンディション3(Good) $369,000
コンディション4(Fair) $306,000

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アルファロメオ ジュリエッタSZ-1の詳細スペック

《販売期間》 1957-1960年
《乗車定員》 2名
《ボディスタイル》 2ドアクーペ
《エンジンタイプ》 水冷直列4気筒DOHC 1,290cc
《最高出力》 98ps/6,500r.p.m
《最大トルク》 11.0kgm/5,500r.p.m
《ミッション》 5速MT
《全長×全幅×全高(mm)》 3,920×1,540×1,220
《車両重量(kg)》 785
《最高速度》 189km/h以上
《生産台数》 180台

②アルファロメオ ジュリエッタSZ-2の価格相場

前期型のSZ-1よりも更に生産台数が少ないアルファロメオジュリエッタSZ-2も価格相場は高止まりし、直近数年での価格変動はありません。現在の価格相場は$322,000-606,000となっており、前期SZ-1よりも1割程度高い水準となっています。後期SZ-2に関しては、元々生産台数が少なかった事もあり、後から前期SZ-1をベースとして後期SZ-2に改造した個体も存在しています。アルファロメオのファクトリーで改造されたオリジナリティの高い個体もありますが、購入時の見極めは慎重に行う事をおすすめします。

《HAGERTY情報》 2020年5月時点

コンディション1(Concours) $606,000
コンディション2(Exellent) $449,000
コンディション3(Good) $384,000
コンディション4(Fair) $322,000

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アルファロメオ ジュリエッタSZ-2の詳細スペック

《販売期間》 1960-1963年
《乗車定員》 2名
《ボディスタイル》 2ドアクーペ
《エンジンタイプ》 水冷直列4気筒DOHC 1,290cc
《最高出力》 98ps/6,500r.p.m
《最大トルク》 11.0kgm/5,500r.p.m
《ミッション》 5速MT
《全長×全幅×全高(mm)》 - × – × –
《車両重量(kg)》 770
《最高速度》 -km/h以上
《生産台数》 30台

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