アウディ クワトロのモデル概要
今ではフルタイム4WDと聞くと真っ先にアウディをイメージしますが、歴史的にはフルタイム4WDのスポーツカーを最初に提供したメーカーは、1960年代後半に開発したジェンセン社でした。しかし、後発のアウディ社はアウディクアトロの成功によりフルタイム4WDスポーツカーにおいて名声を獲得します。今でこそフルタイム4WDはポピュラーな存在ですが、当時4WDは悪路や雪道を走るための手段と見なされていて、4WDと2WDを手動で切り替える「パートタイム4WD」が一般的な時代でした。しかしアウディ社は乗用車にフルタイム4WD技術を採用することで、2WDでは実現できなかったスポーティな走りを目指したのです。
1980年のジュネーブモーターショーで発表されたアウディ クアトロは、アウディ社がフェルディナント・ポルシェ博士の孫であるフェルディナント・ピエヒを技術担当責任者に迎え入れて開発した最初のモデルとして注目されます。ボディーフレームはアウディ80(B2モデル)と共用していますが、フロントサスペンションは同じストラット式ですがメンバーからはアウディ200(C2モデル)の部品を採用しています。また、リアサスペンションに至っては、アウディ200の前輪用を前後逆に用いたストラット式に改良されています。さらにブレーキもフロントがベンチレーテッドディスク、リアもディスクになっており、足回りはベースとなるアウディ80とは大きく異なった構造となっています。外装は幅の広いタイヤと拡大されたトレッドを収納するためにブリスターフェンダーになっており、大型の前後アンダースカートとサイドスカートを装備してスポーティーな印象となっています。エンジンはアウディ200で採用されている2,144cc直列5気筒SOHCをベースにインタークーラーを備えたターボチャージャーで過給しています。その結果、出力200PS(147kW)/5,500rpm、29.1kgf·m/3,500rpmのパフォーマンスを発揮し、最高速度は222km/hまで達します。
1983年には内装外装ともマイナーチェンジを行いシリーズ2となりました。外装では分離していたヘッドライト一体化と、色つきクリアレンズだったテールライトをスモークカバー化が特徴です。
そしてアウディクワトロは、1991年まで製造され累計11,452台が製造されています。
アウディは自動車史に残る画期的な発明と言えるこのフルタイム4WDスポーツカーで、WRC(世界ラリー選手権)に参戦して大成功を収めました。その結果フルタイム4WDスポーツカーの性能を世界中に証明し、各社がこぞってスポーツモデルにフルタイム4WDを採用する流れを作っています。このフルタイム4WD方式は、現在でもアウディ社のアイデンティティとして確固としてあり、今でもアウディクワトロという車名のモデルが発売されています。ちなみに現在は、この初代クワトロと現行クワトロを明確に区別するために、初代クワトロについては『Ur-クワトロ(ドイツ語でオリジナルの意味)』という呼び方で一般化されています。
アウディ クワトロの価格相場
アウディクワトロは2018年に若干価格が上昇しましたが、その後は多少上下を繰り返しながら横ばいが続いています。クラシックカーの中では年式が比較的新しく、今後の価格上昇が期待できるネオクラシックカー世代の代表的なモデルです。販売台数も10,000台程度のため、一般的に価格が上昇する要件である「販売台数3万台以下」を満たしています。尚、現在の価格相場は$16,500-82,400と幅が広いですが、このようなモデルはコンディションが良い個体から価格が上昇するため、今のうちに高価でも良い個体を手に入れて大事にしておきたいモデルです。
コンディション1(Concours) $82,400
コンディション2(Exellent) $46,800
コンディション3(Good) $32,400
コンディション4(Fair) $16,500
アウディ クワトロの詳細スペック
《販売期間》 1980-1991年
《乗車定員》 5名
《ボディスタイル》 2ドアクーペ
《エンジンタイプ》 水冷直列5気筒SOHC 2,224cc
《最高出力》 160ps/5,500r.p.m
《最大トルク》 23.5kgm/3,000r.p.m
《ミッション》 5速MT
《全長×全幅×全高(mm)》 4,404×1,723×1,344
《車両重量(kg)》 1,290
《最高速度》 222km/h以上
《当時新車価格》 1,100万円
《生産台数》 11,452台
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