フィアット ディーノのモデル概要
フィアットディーノは、1966年のトリノモーターショーで発表されたスポーツカーです。当初2リッターエンジンを搭載するモデルとしてデビューしますが、1970年からは2.4リッターエンジンにパワーアップしました。これを境に、フィアットディーノは前期型と後期型に区別されています。
また、フィアット ディーノは、フェラーリ社から販売された名車「ディーノ206GT/246GT」と同じエンジンを搭載する兄弟車としても有名なモデルです。当時フェラーリ社が、FIAフォーミュラ2のレース規定をクリアする為に、エンジンユニットの共同生産体制をフィアット社に依頼したことから、フィアットディーノは誕生しました。
フェラーリ社とのエンジンユニットの共同生産体制とフィアット ディーノの誕生
1967年からFIAフォーミュラ2レースでは、使用するエンジンを「年間500台以上生産された市販車のエンジンブロックの使用すること」と義務づける規定が設けられましたが、当時のフェラーリ社では単一車種を年間500台生産する能力はありませんでした。そこでフェラーリ社は、自社開発したV型6気筒エンジンユニット(通称ディーノエンジン)をフィアット社に生産を委託し、両社でこのエンジンを搭載するモデルを販売する事でレース規定をクリアしようと考えます。
一方、提携を依頼されたフィアット社は、フェラーリが開発した高性能エンジンを販売することでブランディングにつながる事を期待します。その結果、フェラーリ社とフィアット社の共同生産体制がスタートします。そしてフェラーリでは、「ディーノ206GT」として、フィアットでは「フィアット ディーノ」として、それぞれ異なるスポーツモデルの販売を開始し、無事レース規定の年間500台以上の生産をクリアしました。実際フィアットディーノは、1973年の生産終了までに、スパイダーが1583台、クーペが3670台の合計7,651台が販売されています。
フィアットディーノのメカニズム
初期型2リッターモデル(1967-1969年)では、モノコック構造の車体に160馬力のV6エンジン(排気量1987cc)を搭載し、そこにフェラーリ製の5速トランスミッションが組み合わされました。同じエンジンを積むフェラーリ社のディーノ206GTでは、ミッドシップレイアウトを採用していましたが、フィアットディーノは4名乗りの居住性を確保する為、FR駆動方式となっています。また、サスペンションシステムもフェラーリ ディーノ206GTとは別の構造が採用されています。
1970年になると、レース規定の年間販売台数500台がクリアされたことで、フェラーリ社が2リッターエンジンをパワーアップさせ、2.4リッターエンジンを開発します。このエンジンの変更によりフェラーリ「ディーノ206GT」は、「ディーノ246GT」にモデルチェンジします。これと連動する形で、フィアットディーノも2.4リッターエンジンに変更します。この後期型2.4リッターモデル(1970-1973年)では、最高出力が180馬力にパワーアップし、トランスミッションはZF製(ドイツの自動車部品サプライヤー)に変更されました。さらに足回りも、「リアアクスル+リーフスプリング」方式からコイルスプリング方式の独立サスペンション型に変更されています。ほかにも、ラジエーターの拡大や電動ブレーキサーボの追加も行われました。
フィアットディーノのボディデザイン
最初オープンボディーのスパイダーが1966年のトリノショーで発表されますが、すぐに半年後のジュネーブショーで、クーペモデルが追加されました。その為、フィアットディーノでは、同じメカニズムのスペックで、オープンモデルのスパイダーとクーペモデルの2つのスタイルが選択できました。
フィアットディーノスパイダー
ピニンファリーナがデザインした曲線が美しいスパイダーモデルです。小さいながらも後部座席を持つ4シーターとして実用性も兼ね備えています。生産台数が1583台と少なく、現在では非常に貴重なモデルです。
フィアットディーノクーペ
クーペモデルは、ベルトーネの直線的な力強いデザインとなっています。「2プラス2」と呼ばれる後部座席が小さいながらも4名が座れる4名乗りのクーペスタイルで、2シーターのスパイダーに対してホイールベースが270mm伸ばされています。一方、インテリアは、計器などのトリムも豪華な造りをしており、グランツーリスモ的な印象となっています。
フィアット ディーノの諸元表・スペック
販売期間 | 1967-1973年 |
---|---|
生産台数 | スパイダー:1583台(2リッター:1163台、2.4リッター:420台)、クーペ:6220台(2リッター:3670台、2.4リッター:2550台) |
ボディスタイル | 2ドアオープン、2ドアクーペ |
サイズ(全長×全幅×全高) | 4,110mm×1,700mm×1,270mm |
車両重量 | スパイダー:1,150kg、クーペ:1,270kg |
エンジンタイプ | 1967-1969年:水冷V型6気筒DOHC 1,987cc、1969-1972年:水冷V型6気筒DOHC 2,418cc |
最高出力 | 1967-1969年:160hp/7,200r.p.m、1969-1972年:180hp/7,200r.p.m |
最大トルク | 1967-1969年:17.5kgm/6,000r.p.m、1969-1972年:- |
ミッション | 5速MT |
駆動形式 | FR |
サスペンション | 独立型ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング |
最高速度 | 210km/h |
価格相場
フィアット ディーノスパイダー
フィアットディーノスパイダーの価格相場は、同じエンジンを持つ兄弟車「フェラーリディーノ206/246GT」に大きな影響を受けます。フェラーリディーノ246GTが、クラシックカーを代表するモデルとして、クラシックカー市場全体をけん引する存在の為、フィアットディーノも敏感にその影響を受けます。また、ボディタイプでは、スパイダーの方がクーペと比べ圧倒的に生産台数が少なく、人気もある為、価格相場は大きく上回っています。一方、初期型と後期型では、大きな価格相場の違いはありませんが、パワーアップした後期型2.4リッターモデルの方が、若干価格が高い印象です。
2017.07.28
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フィアット ディーノクーペ
グランツーリスモ的な印象のクーペは、スパイダーに比べて生産台数も多いこともあり、比較的価格相場は抑えられています。ただ今後は、貴重なディーノエンジン搭載車という事で注目される可能性があります。その場合は大きく価格相場は上昇していくでしょう。
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バイヤーズガイド
フィアット ディーノの購入の際に気を付けるポイント
フィアットディーノは、フェラーリ製エンジンが注目されがちですが、購入の際はボディを良くチェックする必要があります。当時のイタリア車のボディは、非常に錆びやすいスチールを使っている為、ボディ状態をチェックする必要があります。また、エンジンについては、フェラーリディーノも含め、比較的多く出回っている為、メンテナンスに困る事はありませんが、フェラーリ製エンジンという事で比較的高価になる事は覚悟してください。また、フィアットディーノでは、すべてが左ハンドルで、右ハンドル車は販売されていませんので、右ハンドル車にこだわりがある方は注意が必要です。
購入車両の探し方
販売されている個体は非常に少ないのですが、まずは大手販売サイトや個人売買の仲介サイトで現在販売中の車両をチェックします。
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