フィアット 131アバルトラリーのモデル概要
フィアット131アバルトラリーは、FIAグループ4規約で行われていたWRC(世界ラリー選手権)へ参戦する為に開発され、1976年のジュネーヴショーでフィアットアバルト124ラリーの次世代機として正式発表されたホモロゲートモデル(レース規定を満たすために販売される限定特別モデル)です。このモデルは、グループ4時代のWRCにおける最高傑作の一つと言えると共に、フィアット傘下のアバルトにとっても最高傑作と呼ぶに相応しい一台です。
フィアット131アバルトラリーの開発背景
フィアットは、1976年まで前モデルであるフィアットアバルト 124 ラリーでWRCに参戦していましたが、子会社のランチアが「ストラトス HF」で1974年から3年連続でWRCのメイクスタイトルを獲得する快挙を成し遂げる一方で、最高でシーズン2位の戦歴しか残せていませんでした。さらに当時のフィアットは、オイルショックの影響により経営不振にも悩んでいました。そのため経営陣は、量産車の販促に繋がらないランチア ストラトスの活躍を複雑に見ており、本音では販売台数を稼げる大衆車メーカーのフィアットブランドでの活躍を求めていました。そこでフィアット社は、一念発起し、量販車をベースとしたWRC参戦用のラリー専用マシンの開発を始めます。
アバルトによるラリー専用マシンの開発
フィアット社は、このラリー専用マシンのベース車両に大衆車のフィアット「131」を選び、モータースポーツ部門を任せていたアバルトに開発を指示します。指示されたアバルトは、当時のグループ4規約(年間400台の義務生産台数)をクリアする為、まずはホモロゲートモデルとして公道用モデルを開発しました。この公道用フィアット131アバルトラリーは、基本的なスタイリングは一般的なフィアット131ですが、太いタイヤを装着し、そこに大きなオーバーフェンダーを装着した戦闘的な外観となっていました。
フィアット131アバルトラリーのメカニズム
フィアット131アバルトラリーのパワーユニットは、小型乗用車「フィアット132」のエンジンを改良したチューニングエンジンが搭載されています。公道用モデルは最高出力140馬力に抑えられましたが、一部の販売された本格的ラリー仕様では、クーゲルフィッシャー製の機械式燃料噴射付きが搭載され、215馬力以上を発揮するチューニングが施されています。また、足回りもアバルトによるチューニングがされています。フロントサスペンションは、基本構成こそフィアット131と大きく変わりませんが、いたるところに改良が加えられています。また、リヤサスペンションは、鋼管で組み上げたセミトレーリングアームにコントロールロッドとスタビライザーで構成する独立式マクファーソン・ストラット方式が、専用設計として採用されています。
フィアット131アバルトラリーのボディデザイン
フィアット131アバルトラリーのボディの改装は、カロッツェリア・ベルトーネが担当しました。大きく張り出したオーバーフェンダー、FRP製のフロント・リアスポイラーやボンネット、アルミ製ドアパネルが採用され、軽量化が図られています。また、バンパーも外され、エアダム形状のフロントスカートに変更されている事も、ベース車両となったフィアット131と大きく異なる特徴的なポイントとなっています。
ラリーでの活躍
当時のWRCトップカテゴリーだったFIAグループ4規約(連続した12か月間に継続して400台以上を生産した市販車である事)をクリアする目的で開発されたフィアット131アバルトラリーですが、それに合わせて400台だけ販売されると、無事に販売台数をクリアします。そして、WRC(世界ラリー選手権)に参戦すると、期待通りの活躍を見せ、1977年、1978年、1980年で合計3回のワールドタイトルを獲得しました。このラリーでの活躍により、フィアット131アバルトラリーは、最終的には1000台以上が生産されています。
フィアット 131アバルトラリーの諸元表・スペック
販売期間 | 1976-1978年 |
---|---|
生産台数 | 約1000台 |
ボディスタイル | 2ドアクーペ |
サイズ(全長×全幅×全高) | 市販モデル:4,190mm×1,720mm×1,360mm、ラリー仕様:4,190mm×1,820mm×1,360mm |
車両重量 | 950kg、985kg |
エンジンタイプ | 水冷直列4気筒DOHC 1,995cc |
最高出力 | 140hp/6,400r.p.m |
最大トルク | 17.5kgm/3,600r.p.m |
ミッション | 5速MT |
駆動形式 | FR |
サスペンション | フロント:マクファーソン・ストラット、リア:セミトレーリング・アーム |
最高速度 | 189km/h |
フィアット 131アバルトラリーの価格相場
フィアット131アバルトラリーは、長らく一定の価格を維持してきましたが、クラシックカーバブルの2016年に一度急騰しました。ただ、他のクラシックカーに比べて上げ幅も限定的であり、急騰してすぐにピークを迎えました。その後、徐々に相場は下落していきましたが、現在ふたたび上昇傾向となっています。まだまだクラシックカーとしては比較的新しい分類で、イタリアンラリーカーというマニアックな世界でもある為、投資対象とはなりにくいようです。
フィアット 131アバルトラリーの現在価格
【フィアット 131アバルトラリー】コンディション別の相場価格(2022年11月時点)
最高・完璧
前月比 8.5%
非常に良い
前月比 4.0%
良い
前月比 3.0%
普通
前月比 3.9%
クラシックカー投資研究所では、Hagertyの最新相場情報を円換算して価格提示しています。
Hagertyの相場情報についてはこちら>>>Hagerty valuation(英語)
フィアット 131アバルトラリーの価格推移(CLASSIC.COM)
【フィアット 131アバルトラリー】過去5年間の販売価格の推移
CLASSIC.COMのデータを引用しています。
さらに詳細に調べたい方はこちら>>>CLASSIC.COM(英語)
バイヤーズガイド
フィアット 131アバルトラリーの購入の際に気を付けるポイント
フィアット131アバルトラリーは、レース参戦用のホモロゲーションモデル(限定生産モデル)の為、当時から販売台数も少なく、販売されている個体を探すことは簡単ではありません。実際、販売されている個体を見つけても、ラリーマシンという性格上、車両コンディションには注意してください。フィアット131アバルトラリーは、当時の大衆車イタリア車(フィアット131)をベースにしている為、基本的な車体クオリティは高くありません。特にボディの錆や腐り、その他、金属部品の劣化は比較的激しいです。一方、レースヒストリーについては、価値が大きく上げる要素でもありますので、個体のヒストリーはしっかりと確認し、購入判断を行う事をおすすめします。
購入車両の探し方
販売されている個体は非常に少ないのですが、まずは大手販売サイトや個人売買の仲介サイトで現在販売中の車両をチェックします。
現在、販売中のフィアット 131アバルトラリーを調べる。
ご希望の車両がない場合、クラシックカー専門店に依頼します。クラシックカー専門ショップでは大手販売サイトに掲載されていないモデルでも世界中の業者ネットワークから探し出すことが出来ます。
信頼できるクラシックカー専門ショップをさがす。
購入車両が見つからない時の裏ワザ!!
意外と知られていない裏技ですが、中古車販売サイトで掲載がない希少車でも、日本最大の買取ネットワークを持つガリバーに在庫車がある場合があります。ガリバーは”無料“で在庫車から探してもらう事ができますので、一度お問合せをしてみてください。思っている以上に旧車やクラシックカーの掘り出し物があるのでオススメです。
>>>全国の新鮮在庫から、欲しいクルマを今すぐチェック!