BMW M1のモデル概要
BMW M1は、BMWが公式レースに参戦する為に、競技部門であるBMWモータースポーツとランボルギーニが共同開発したスーパーカーです。当時、国際自動車連盟(FIA)の公式レースにはクラス毎に参加規定があり、その中でBMW M1は、FIAグループ4規定(連続する24か月の間に、400台を販売)およびグループ5規定を満たす為に販売されました。
BMWモータースポーツ社の設立
1960年代後半になると、BMWは、レース用車両の開発を積極的に手掛けるようになります。車両だけでなく、プライベーター向けのレーシングエンジンなどの競技用パーツの供給まで幅広く行うようになりました。すると、BMWは、この競技部門を分社化します。そこで誕生したのが、BMWモータースポーツ社です。この会社は、主に2つの役割を持っていました。ひとつはモータースポーツ用エンジンやパーツの製作販売、もうひとつはモータースポーツの経験を活かしたコンプリートカーの製作販売でした。そのコンプリートカーこそが今も続くMシリーズとなっています。
BMW M1の開発
BMW M1は、BMWモータースポーツ社の最初のモデルとして開発がスタートします。BMW本社は、グループ5「シルエットフォーミュラー」で争われるようになったメイクスチャンピオンシップに勝利する為、当時設立から4年が経ったBMWモータースポーツ社に、レーシングモデルの開発を指示します。当時BMWは、このレーシングカテゴリーに、BMW3.0CSLにターボチャージャーを積んだマシンで挑んでいましたが、BMW 3.0CSLターボは、最高出力750馬力というパワーに駆動系が付いていけずトラブルが多発していました。この状況を打破したいBMW首脳陣は、本格的なミッドシップレーシングカーの開発を決意します。しかしながら、BMWにとってミッドシップという駆動形式は、未知の領域であった為、ランボルギーニに助けを求め、共同開発という形でBMW M1の開発に踏み切りました。
ランボルギーニ社との共同開発
BMW社から共同開発の依頼を受けたランボルギーニ社では、早速、ランボルギーニ・ミウラやデトマソ・パンテーラを生んだスーパーカーエンジニアとして有名なジャンパオロ・ダラーラをチーフとするチームが、BMW M1の開発をスタートします。そして翌年春までに、角型鋼管スペースフレームのシャシーや、不平等な長さのダブルウィッシュボーンサスペンションなどのレーシングマシンとしての基礎設計を終えます。一方、ボディ開発は、ジウジアーロ率いるイタルデザイン社が担当し、1972年に発表した試作車「BMWターボクーペ」のイメージを受け継いだデザインを完成させました。一方、パワーユニットは、BMW社が開発を担当し、量産型の直列6気筒のシリンダーブロックをベースに改良したM-88と名付けられたユニットを完成させます。こうして開発されたBMW M1は、ロードバージョン、グループ4バージョン、グループ5バージョンの3種類のバリエーションの試作車が用意されました。
BMW単体でのBMW M1の発表
BMW社とランボルギーニ社の共同開発は試作車の完成までは順調に進んでいましたが、ランボルギーニ側のプロジェクトが大幅に遅れる事態が発生します。それにより、BMW M1の開発は突然暗礁に乗り上げます。BMW社の首脳陣は、協議の結果、ランボルギーニ社を買収して完全に支配下に収めようとします。しかし、ランボルギーニ社の下請け業者たちから猛反発にあい、買収を断念せざるを得ない事態となりました。こうして1978年4月、BMW社とランボルギーニ社の業務提携が解消となります。しかし、BMWは、M1の発売をあきらめませんでした。開発を担ったランボルギーニ社が不在の中、BMWはその生産の役割をバウア社とBMWモータースポーツ社に担当させることで、どうにか販売までこぎつけます。そして1978年秋のパリサロンで、BMW M1は発表されます。しかし、苦し紛れの生産体制を取ったことで、当然ながら販売価格は高額となり、ポルシェ911やフェラーリ308の2倍の金額を提示せざるを得なくなりました。
苦しい販売状況とレース参加規程の例外的獲得
ライバルに対して割高なプライスを付けざるを得なかったBMW M1は当然のことながら販売面で苦戦します。パフォーマンスこそ、最高速262km/h、0~100km/h加速5.6秒と素晴らしい水準を誇り、エアコン等の快適装備品も搭載したモデルでしたが、その極めて高額な販売価格には勝てず販売数は低迷します。そうなるとグループ4基準の販売台数400台をクリアする事が難しいと考えたBMWは、BMW M1のワンメイクレースを企画し、1979-1980年の1年半のあいだF-1グランプリの前座レースを開催します。当時のトップレーサーも参戦したこともあり、BMW M1のワンメイクレースは人気を博し、そのおかげてBMW M1は400台を販売します。しかし、1年間で400台を販売するという規定を満たせず、それまで1年半かかったことで年間販売400台という基準をギリギリ満たしませんでした。しかし、FIAは特別にBMW M1に1981年以降のグループ4レギュレーションを与えました。しかしその翌年から、レースの世界では新たなカテゴリーとして、グループCでの世界選手権を発表し、グループ4カテゴリーのBMW M1の存在価値はなくなります。その為、BMW M1は生産台数447台を以って生産終了という悲しい末路となりました。
BMW M1の諸元表・スペック
販売期間 | 1978-1981年 |
---|---|
生産台数 | 447台 |
ボディスタイル | 2ドアクーペ |
サイズ(全長×全幅×全高) | 4,360mm×1,824mm×1,140mm |
車両重量 | 1,300kg |
エンジンタイプ | 水冷直列6気筒DOHC 3,453cc |
最高出力 | 277hp/6,500r.p.m |
最大トルク | 33.6kgm/5,000r.p.m |
ミッション | 5速MT |
駆動形式 | MR |
サスペンション | フロント・リア:ダブルウイッシュボーン |
最高速度 | 262km/h |
BMW M1の最新価格相場
BMW M1の現在価格
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BMW M1の価格推移(CLASSIC.COM)
【BMW M1】過去5年間の販売価格の推移
CLASSIC.COMのデータを引用しています。
さらに詳細に調べたい方はこちら>>>CLASSIC.COM(英語)
バイヤーズガイド
BMW M1の購入の際に気を付けるポイント
BMW M1は、発売当時から非常に高額な車両で生産数も極めて少ないのですが、そのおかげで現存している車両のコンディションは、非常に良い個体が多いです。その為、個体の持つヒストリーが価値の差となります。販売店の店頭に並んでいるようなクルマではないので、購入の際は、所有者に交渉して売ってもらう場合も多いでしょう。その際は、車両コンディションだけでなく、その個体のヒストリーも詳細に聞いた上で購入する事をおすすめします。
BMW M1の価格相場の特徴
BMW M1は、クラシックカー全体の価格相場に影響を受けるモデルです。その為、価格相場の変動は多少ありますが、現在でも人気のあるBMWとランボルギーニが共同開発し、生産台数も非常に少ないモデルの為、中長期的なトレンドとしては確実に上昇となります。その為、購入を希望する方は小まめに相場をチェックしながら早めの購入が良さそうです。
購入車両の探し方
販売されている個体は非常に少ないのですが、まずは大手販売サイトや個人売買の仲介サイトで現在販売中の車両をチェックします。
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